否定の「非」「不」「未」の使い分け

「非」「不」「未」の漢字は、いずれも名詞・動名詞の頭について否定の意味を表します。

例えば、情報の「非公開」、「不公開」、「未公開」は、どれも「公開していない」という意味になります。

しかし、それぞれの漢字によって、詳しい意味は異なります。どのように使い分ければ良いのでしょうか。

「非」「不」「未」の使い分けの基準は3つ

「非」「不」「未」の漢字を使い分ける基準は、次の3つです。

  1. 感情を伴う否定は「非」、客観的な否定は「不」
  2. 状態の否定は「非」、動作の否定は「不」
  3. 将来実現する可能性のある否定は「未」

順に、文例を確認しましょう。

感情を伴う否定は「非」、客観的な否定は「不」

この使い分けの基準を適用する場合、書き手の意思や価値観に基づく否定は「非」書き手が認識した客観的事実に基づく否定は「不」を使います。

例:医療費は非課税です 書き手の意図:本来は課税するべき対価取引に当たるが、政策上の配慮により課税しない(意図的)
例:寄附金は不課税です 書き手の意図:寄附は対価取引に当たらないので、課税対象にならない(客観的)
例:A社の契約条件は非合理 書き手の意図:A社の契約条件はけしからん。契約するべきではない(感情的)
例:A社の契約条件は不合理 書き手の意図:A社の契約条件にメリットがない。契約する理由がない(客観的)
例:差別は非条理 書き手の意図:差別するべきではない(価値観)
例:差別は不条理 書き手の意図:差別に値する事実がない(客観的)

状態の否定は「非」、動作の否定は「不」

非と不は、別の使い分けをする場合もあります。

状態や状況を否定するときは「非」動作を否定するときは「不」を使います。

この使い分けの基準を適用する場合、英語を例にすると、BE動詞の否定(is not)は非、動詞の否定(do not)は不、に相当します。

例:非売品 意味:売り物ではない(状態の否定
例:不買運動 意味:買わない(動作の否定
例:非清浄 意味:キレイな状態ではない(状況の否定
例:不潔 意味:キレイにしていない(動作の否定
例:非活性 意味:活発な状態ではない(状態の否定
例:不活性 意味:活発化しない(動作の否定

将来実現する可能性のある否定は「未」

いまは実現していないが、将来、実現する予定や可能性がある場合の否定には「未」を使います。

例:非公開 書き手の意図:公開するべきではない
例:不公開 書き手の意図:公開しない・するものではない
例:未公開 書き手の意図:まだ公開していない(将来、公開する予定である)
例:非採用 書き手の意図:採用するべきではない
例:不採用 書き手の意図:採用しない・できない
例:未採用 書き手の意図:まだ採用していない(将来、採用する可能性がある)

ただし、一律の基準で決まる訳ではない

これまでに紹介した3つの基準は、例外もあります。

例えば、消費税の「非課税」「不課税」の表現は、適用する基準によって結果が異なります。

政策的配慮による否定であるという点に注目して「非課税」と表現されているものは、動作(課税行為)の否定であるという点に注目すると「不課税」と表現したくなります。

他方、課税対象ではないという客観的事実に注目して「不課税」と表現されているものは、状態の否定(is not)であるという点に注目すると「非課税」と表現したくなります。

更に、将来、課税対象が拡大する予定があるなら、「未課税」の表現もあり得るかもしれません。

このように、「非」「不」「未」の使い分けは絶対的なものではありません読み手が誤解するおそれがある場合は、書き手の意図を文脈の中で明確化しましょう

※ 消費税の例は、法律上の定義が明白ですので、その用例に従ってください。